ネフローゼ発症の謎が解けた ①

私たちの体の組織はストレスを受けると、”先祖返り”といって進化する以前の原初の形に戻る性質があります。たとえば、肝臓の組織は、元は脂肪を貯蔵する係でしたから、ストレスがかかると脂肪肝になってしまいます。
また、胃の細胞は腸から発生しているので、ストレスを受けると「腸上皮化成」といって腸の細胞に似た性質に置き変わってしまいます。これは胃炎などの炎症が生じたあとに観察される現象で、変化した細胞はガン化しやすいといわれています。
実は、ネフローゼも、ストレスによって腎臓の血管が先祖返りを起こし発症します。
血管の内側を覆っている血管内皮細胞は、原始マクロファージンと呼ばれる血液細胞から生まれました。生物の進化がまだ進んでいなかったころは、造血組織と心臓はあっても血管はなく、血液はそれぞれの細胞のすき間に送られているだけでした。しかし、進化に伴って臓器が複雑に入り組んでくると、このような単純なしくみでは効率よく血液を送ることができなくなり、血液細胞は自ら進化して血管という管になったのです。
安保徹「薬をやめると病気は治る」本文より